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携帯ショップの張り紙~その6(2005/10/06)

携帯ショップの張り紙に端を発したこのシリーズも、いよいよ最終回。
最後に、我々ユーザーからすると、どういう立場になるかを考えてみたい。ぜひ前回、前々回の記事も参考にしていただきたい。

消費者心理としては、とにかく安く手に入れたいというのがあるだろう。
いかに機種変更を安くするかという視点から考えたときに、どうするか。安い店を探すのが最も一般的な考えであろう。しかし、機種変更に関しては新規ほど店による違いはなく、さらに新規ほど安くもない。

ではどうするか。そう、機種変更には、通常の機種変更の他に持ち込み機種変更という手続きが存在する。新規で買った端末をすぐに解約して、それを利用するのだ。つまり、新規契約の価格と、その他手数料分を差し引いても、通常の機種変更の価格よりも安く上がるのだ。

これが、世に知られている即解の原理であるが、消費者にしてみれば、システムの隙をついた方法であると言える。

より安く…ということに関して言えば、この方法は間違ってはいない。
多くの人が、インセンティブモデルの存在すら知らないのではないだろうか。携帯電話の値段は年々上昇傾向にあるが、それでも3万円台である。これを「高い」と思ってしまうのであれば、それは携帯電話本来の価格を知らないからではないだろうか。つまり、インセンティブモデルを知らないが故に、3万円という非常に安価な価格設定であっても、高価と感じてしまうのである。


システムの隙をつくというところで言えば、最近では郵便局の定期預金が記憶に新しい。これは、「1円未満の利子を1円として切り上げる」という設定の隙をついた方法である。詳しい事は他のサイト等に讓るが、一時、マネー雑誌等に掲載されて大反響を呼んだ。しかしあまりにも非現実的な高利率になってしまうため、郵便局の対応によりこの定義は変更され、現在はこれは使えない。


さて、話がそれてしまったが、システムの隙を突くということに関して言えば、消費者心理として至極当然な動きだとも考えられるのではないだろうか。自ら作り出したシステムに穴があれば、それが妥当ではないならば変えていけばいい。

現に韓国では、2000年よりインセンティブシステムが禁止された。これによって、端末価格は確実に高騰する。では、端末価格が高騰したからといって、携帯電話業界の成長の妨げになるかと危惧されたが、蓋を開けてみるとそうではなかった。

実際に端末価格は値上げとなってしまったが、「良いモノにはカネを出す」という意識が勝り、実際には心配されたほどの事態にはならなかったようだ。法令によってインセンティブシステムを禁止し、半ば強制的に移行した韓国はある意味博打だったとは思うが、日本でも十分実現可能ではないだろうか。

現在、白物家電では多機能モデルがそこそこ売れているらしい。これも、とにかく安いものをというよりも、多少高くてもいいものを買いたいという傾向なのだろう。携帯でも、同じような傾向がみられると思う。家電でも、こだわる人は多機能モデルを買うし、最低限の機能さえあればよいと考える人は、廉価モデルを買うだろう。今や生活必需品となった携帯電話も、あらゆる層の人が使うようになりその考え方も多様化してきている。インセンティブシステムを廃止したとしても、十分に市場が維持されるのではないかと考えている。


さて、裏の仕組みをしらないユーザーは、
「インセンティブモデルだか何だか知らないが、とにかくそうすれば安く手に入るんだからそれでいいじゃないか」
と言うかもしれない。…もっともな話だ。
即解することで、販売店が赤字になるから、じゃぁやめておこう…。という気を遣った人も中にはいるかもしれない。

しかも、販売店がその値段で安く売っているのは、販売店があらかじめインセンティブ分を見込んで値引きをしているからであって、どのような値段設定にするかは販売店の勝手だ。即解のリスクを回避したければ、インセンティブ分の値引きをしなければいい。そこまでしてしまうととんでもない価格になってしまうので、とにかく底値で売らなければいい。即解目的の人は、いかに安く手に入れるかということに注目しているので、底値にしてしまうと狙われる可能性が高い。

じゃぁ、販売店側で念書を取ってしまえばいいじゃないかと思うところであるが、これは以前記事にしたように、問題が発生する。消費者センターから注意が掲載されるほどの事態になってしまったが、販売店独自の解約制限(いわゆる「縛り」)には法的効力が発生するかどうかということが問題になった。
私は法律の専門家ではないので実際のところはよくわからないが、販売店の言い分としては、「一定期間使ってもらうことと引き換えに値引きを行っているので、それに違反したから違約金を請求した」ということだ。つまり、値引きの条件として一定期間利用するという販売店との「契約」となっているので、その「契約」に「違反」したということになるそうだ。
しかし、問題となった時期に、キャリア側としては販売店のそのような販売方法は不適切として、取引禁止措置を講ずる場面もあった。キャリアとしては、販売店側の勝手な販売手法とはいえ、かなりのイメージダウンは免れないということでそのような措置をとったものと考えられる。

しかし、キャリア側も、現在は新規契約拒否という措置を講じる場合が出てきた。といっても、現在把握している限りでは、短期解約を短期間に相当繰り返した人でない限りひっかからないようだが、今後どのような基準になってくるかは不透明だ。厳しくなる方向に動いていくのはほぼ確実であろう。
ユーザーにしてみれば、方法はそれぞれ違うが販売店もキャリアも、インセンティブモデルに乗っかってこない(本来の買い方をしない)ユーザーについては排除していきたいのではないかというふうにも取れる。

何が言いたいかまたまとまりのないものになってきたので、そろそろ終わりにしようかと思うが、究極的には以下のようになるだろう。

・インセンティブシステムという、新端末を安価に購入できるシステムがあるのだから、正直にそのシステムを利用していく。通話料や基本料からその分が出ているので、長く使っているユーザーが優遇価格になるのは当然である
・新規を優遇するという前提があるので、機種変更の価格が必然的に高くなってしまう。より安く手に入れられる手法(即解)があるのだから、それを利用しても構わないのではないか
・そもそもインセンティブシステムを抜本的に見直すべきで、端末の販売と回線契約とを分離するべきだ

他にもいろいろな意見があると思うが、以上の記事を参考に、また他のサイトにも即解やインセンティブシステムについての記事がのっているので、興味のある方は参考にしていただきたい。また私の記述にも完全な正確性があるとの保証もできないので、いろいろな意見を見てみるといいかと思う。


以上、6回に渡って携帯電話の販売システムについて書いてみました。ふと立ち寄った販売店の張り紙から端を発し、ちょっとした特集のようになってしまいましたが、参考にしていただけたでしょうか。
激安で売られている携帯電話の裏には、このようなシステムが動いていることを認識してもらうと、また違った見方ができるのではないでしょうか。

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